7.2 労働安全と知識

・水中作業の安全を阻害する要因は多く、少しのミスが致命的な事故につながってしまいます。
・感電や腐食など、水中作業では陸上とは異なる認識が必要です。労働安全・衛生管理に関係した事柄を紹介をします。

2.労働安全と知識

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 人間が作業する以上、何らかの原因で事故は起きてしまいます。ロボットによる作業であっても、人間が作ったものであるため、プログラムミス、故障、想定外の事象など、事故が起きるのはやむを得ません。その中で、如何に致命的な事故の発生を防止し、被害を最小限にとどめる体制を作るのかが重要です。
 40年近く前の話ですが、マレーシアで土木建設業に勤務する友人と話をした際に、「土木作業をゴムスリッパではするな!といくら注意しても直さない。もっとも、彼らは体が最重要な資本とわきまえているから、勤務に影響するような事故はめったに起こさない。安全靴を買うようなお金は、家族の生活に使用するほうが賢いと割り切っている。」と、聞いた覚えがあります。ベトナム戦争のさなかでもあり、基本的にゲリラ戦なので、軍人の戦闘ユニフォームより近隣住民と同じ格好の方が、リスクは小さいと、大いに納得した記憶があります。
 右に示した労働安全衛生法が示しているように、危険を防止して安全に労働を行うためには、作業対象のことを良く理解し、事故を起こしにくい設備を整え、訓練を適切に行う必要があります。
 災害は不慣れなためにあるいは知識が欠如しているため、および、マンネリ化して不用意な動作をしたことによって、多く起こります。労働災害の因果関係は、以下のようにまとめられています。
(1)災害は事故の結果として発生する。
(2)事故は不安全な状態及び不安全な行動によって起こる。
(3)不安全な状態・不安全な行動は、個人の能力、素質の欠陥、及び環境によって生まれる。
 また,重症災害の約30倍の軽症災害があり、人身災害の約10倍の無障害事故が発生し、これらの比率はハインリッヒの法則と呼ばれています。また、事故の直接原因である不安全状態と不安全行動は、以下の理由により発生しやすくなります。また、それに関係する者の安全意識の高低に大きく左右されます。
1)不安全状態
 イ、点検の未実施,不備
 ロ、危険な箇所が分からない(危険予知能力の欠如)
 ハ、危険は予知したが放置した(改善能力・意欲の欠如)
 ニ、安全装置の不便用及び安全措置の不履行
 ホ、作業方法の改善に安全装置が一致していない
 へ、設備が,個人の行動特性,癖に合っていない
2)不安全行動
 イ、知らない(教わっていない、覚えてない、忘れた)
 ロ、やれない(技能未熟、難しい、仕事量が過重)
 ハ、無意識状態でやれない
 ニ、安全軽視により意識的にやらない

次ページ 2016.04.01作成 2017.04.28改定

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安全感電・目次
チェックシート
 企業の人と共同研究をするようになってから、安全に関する意識が格段に向上しました。
 勤務しだして早い時期から一人のみで実験をすることが多く、電気出身で、ほとんどの装置や計測装置は独力で組上げて実験していました。仕事に関連した装置類についてはほぼ限界や問題点を把握していたので、小さなミスは多く起こしましたが、致命的な大きな事故には結果的に至りませんでした。
 共同研究相手の企業の方たちから、安全チェックシートを確認し商人をもらわないと仕事を始められないと教わり、それ以来自己流でチェックシートを作り作業をするようにしてきました。チェックシートをきちんと作れば、それなりに事故につながる小さなミスを防げることは実感できました。