2.労働安全と知識
人間が作業する以上、何らかの原因で事故は起きてしまいます。ロボットによる作業であっても、人間が作ったものである以上、プログラムミス・故障・想定外の事象など、事故は起きてしまいまえす。フェイルセイフの観点で、如何に致命的事故の発生を防止し、被害を最小限にとどめる体制を作るのかが重要です。
20世紀半ばの話ですが、マレーシアで土木建設をしていた友人から、「土木作業をゴムスリッパではするな!といくら注意しても直さない。もっとも、彼らは体が最重要な資本とわきまえているから、自分がケガするような事故はめったに起こさない。安全靴を買うよりも、家族生活に使用する方が賢いと割り切っている。」と、聞きました。ベトナム戦争のさなかでもあり、基本的にゲリラ戦なので、軍人の戦闘ユニフォームに似た外装より近隣住民と同じ衣類の方が、リスクは小さいと、大いに納得した記憶があります。

右に示す労働安全衛生法は、危険を防止して安全に労働を行うためには、作業対象のことを良く理解し、事故を起こしにくい設備を整え、訓練を適切に行う必要があると指摘しています。
災害は、不慣れ・知識の欠如・マンネリ化による不用意な動作などで起こります。労働災害の因果関係は、以下のようにまとめられています。
(1)災害は事故の結果として発生。
(2)事故は不安全な状態及び不安全な行動により生起。
(3)不安全な状態・行動は、個人の能力・素質の欠陥・環境が原因。
軽症災害は重症災害の約30倍あり、無障害事故は人身災害の約10倍発生する。これらの比率はハインリッヒの法則と呼ばれています。また、事故の直接原因である不安全状態と不安全行動は、以下の理由により発生しやすくなります。また、それに関係する者の安全意識の高低に大きく左右されます。
1)不安全状態
イ、点検の未実施,不備
ロ、危険な箇所が分からない(危険予知能力の欠如)
ハ、危険は予知したが放置した(改善能力・意欲の欠如)
ニ、安全装置の不便用及び安全措置の不履行
ホ、作業方法の改善に安全装置が一致していない
へ、設備が,個人の行動特性,癖に合っていない
2)不安全行動
イ、知らない(教わっていない、覚えてない、忘れた)
ロ、やれない(技能未熟、難しい、仕事量が過重)
ハ、無意識状態でやれない
ニ、安全軽視により意識的にやらない
次ページ 2016.04.01作成 2026.01.12改定