7.労働安全・感電・腐食

・水中作業の安全・感電・腐食は、陸上とは異なる認識が必要なので、労働安全・衛生管理に関係した事柄を紹介をします。

3.4 電気部材

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1)平形ビニルコード
 より線を塩化ビニルで絶縁被覆したコードです。差し込みプラグを使用してコンセントから電源を取る小容量の家庭用電気器具などに附属して広く使われています。前節の火災で述べたように、ビニルは熱に弱いため電熱器や白熱電灯などの電気器具には使えません。また、このコードは移動配線用なので、壁や床などに固定してはいけません。切断作業など鉄骨や火花が飛び散る重作業現場での使用はできません。このコードはテーブルタップに接続されて使用されますが、たこ足配線にならないように注意が必要です。差し込み口が不足する場合には、固定用ケーブル(Fケーブル=平形ビニール外装ケーブル)を使って、固定コンセントを増設します。

2)ゴムコード(袋打ちコード)
 表1に示した許容電流に応じた公称断面積のより線に、紙テープあるいは綿糸を巻き、ゴム混合物で被覆した後、編組を施したコードです。熱に強いので電熱器に使われています。表面のひび割れなどの経年劣化は注意が必要です。ゴムコードをブレーカへ導線を直接接続することは好ましくなく、圧着端子を使用して接続するべきです。また、接続ケーブルは結束棒、またはブラケットに固定します。電線やコードは日常的な存在で、電気機器への配線には柔軟性のある軟銅より線が多く使用されています。表1にコードの公称断面積と許容電流との関係を示していますが、通常は安全優先で、許容電流の約7割程度の電流で使用します。

3)キャブタイヤケーブル
 表2にケーブルサイズと許容電流の関係を示します。軟銅より線をゴム混合物(または塩化ビニル)で絶縁した上、外側を丈夫なキャブタイヤゴム(または塩化ビニル)で分厚く被覆した電線をキャブタイヤケーブルと言います。丈夫で耐水性があり、手荒い使い方をする場所や、屋外などの水気のある場所での移動用電線として使われています。用途(作業環境)により1種から4種までの規格があり、水中作業のように相当厳しい取り扱いを受ける作業に使う場合には、シース中に補強テープがあり線心間にゴム座床のある4種の丈夫なケーブルを用います。電気の供給には、埋め込み形のコンセントと電源盤が用いられます。コンセントの定格電流は、一般に15Aで、大電力を流すことの多いキャブタイヤケーブルでは、電源盤から直接配線します。ケーブルサイズと許容電流の関係は2示していますが、ここの許容電流は、600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(低圧CV3芯)の場合の値であり、電線が太いほど単位断面積あたりの許容電流は小さくなります。また、遮断器容量は許容電流より小さい値のもの、太さに15を掛けた値程度を用いる場合もあります。つまづいて事故になる恐れを防止するために、電気配線は無造作に床に這わしてはいけません。やむを得ない場合にはキャブタイヤケーブルを使い、コードを引っかけないように伏せ板または塩ビチューブで覆い、保護します。

4)絶縁体・誘電体
 絶縁体は、電気を流さない物をさします。直流に対して絶縁体であっても、電圧の極性を反転させる毎に、電荷を通過させる性質がある部材は、コンデンサの性質を示し、交流電圧を印加すると電流が流れます。この性質は絶縁体の誘電率が高いほど著しく現れ、このような絶縁体を誘電体と言います。電極間に過大な電圧を加えると絶縁破壊を生じ、火花放電を起こす場合があります。例えば、プラスティックなどの誘電体は、経年変化によって亀裂が入ると、著しく低い電圧で絶縁破壊します。

次ページ 2016.04.02作成 2016.07.24改定