3.2 漏電・感電・火災
1)漏電
配線や電気機器は電気が外部に漏れないように絶縁物で絶縁されています。しかし、古くなったり、水に濡れたり、傷ついたりすると、建物や機器の金属ケース等に電気が漏れることがあります。これが漏電です。漏電は、感電や火災を起こす主要な要因となっています。特に、海水は電気を良く通し、陸上とは異なった環境となります。このため、特に絶縁に注意が必要です。また、水深が深いところで使う場合には、その水圧に耐えられる構造にします。
ケーブル両端の端末防水処理に特別な注意が必要です。ケーブルと電気器具との接続部分が、海水中に露出するとそこから漏電する危険性が高くなります。また、ケーブル内部に海水が浸透すると、内部の銅線が長い時間には腐食でぼろぼろになることがあります。ケーブル内部の腐食は眼に見えないので、気づきにくいのですが、私も何度か内部腐食に気づかず、通電して所定の電流が流れないので気づいたことがあります。
2)感電
万一漏電している(周囲と異なる電圧がかかっている)器具に触れると、電気はその人の体を通り大地に流れ、「感電」します。身体に電気が流れるとピリピリと感じ、その程度が弱いときはショックだけですみますが、強い電流が流れた場合は人命にかかわります。感電は電圧が高くなるほど危険であり、10Vでも死亡する場合があります。汗をかいたり水に濡れたりした状態では、体を電気が通りやすくなり、この状態で電気器具を扱うと危険に直面します。感電が人体に及ぼす影響については次節で詳細に解説します。
感電を防止するための最小限の方法としては、(1)電気回路に触れるときにはスィッチを完全に切り、検電器で確認してからにすること、(2)可搬式の電動工具を使用する場合には、アース線の確認と漏電遮断器を用いること、(3)活線(電気が送られて電圧のかかっている線)付近では作業をしないこと、(4)活線付近で作業をしなければならないときには点検済みの健全な絶縁保護具・防具を使用すること、(5)電気器具の露出部をなくし使用前の点検により不良箇所の修理・取替えをすること、などがあります。
3)火災
配線やコード、配線器具(コンセントやスイッチ)等が熱くなることがあります。これは一度に電気機器を使いすぎたり、コンセントやスイッチの接触が悪くなったりしたときに起きます。このようなときにコードの被覆が熱で溶けたり、火災に至る危険性があります。器具や電線の定格(電線の太さや絶縁被覆などで決められている最大許容電流)を超える使い方をしないよう常に確認する必要があります。また、ビニールコードは被覆が破れやすく漏電しやすい上、熱に弱いこと、またアースがついていないものがほとんどです。このため、屋外で使用するのは非常に危険です。また規格に合ったキャブタイヤケーブルでも、電線が角の尖った金属に触れていないかどうか、きちんと確認する必要があります。また、水中や狭い区画での作業では、不完全燃焼により可燃性のガスと酸素が狭い空間に充満し爆発しやすくなります。作業を行う前に、作業環境に応じて、その環境に適合した細心の注意を払って確認しなければなりません。
次ページ 2016.04.02作成 20167.04.28改定