3.感電と水中作業(はじめに)
電気による災害は数多くあります。溶接・切断作業で怖いのは、感電事故です。特に狭い場所や、高い場所で作業をしているときに、感電し、そのショックで頭を打ったり転落してしまうことによる二次的な障害が多く発生しています。
表3.1.1に電気災害の分類を示します。電気に関する電気が直接原因となる災害は、感電、やけど、アークによる眼障害などがあります。間接的災害としは、電撃による墜落災害、不意の停電や送電に基づく二次的災害などがあり、このほかいわゆる漏電火災や電気設備が点火源となったガス爆発や粉じん爆発があります。これらは人命と工場施設を破壊させる重大災害になり得ます。感電死亡災害には「活線に人体が接触」が多く、次が「変圧器、コンデンサその他の電力装置の充電部に接触」「電気使用場所の配線」「移動形及び可澱形電動機」によるものとなっています。電圧別では高圧が約60%、低圧が約40%となっています。また月別では6、7、8、9月の夏季に集中し、全死亡者の65%がこの時期に発生しています。夏期は軽装で人体の露出部分が多い上に、発汗と注意力が散漫になりがちなことから事故が起こりやすく、低圧による災害は殆んどこの時期に発生しています。また、被災者には電気工事以外の業務に従事する労働者が多いことも特徴です。電気に起因する各種の事故や災害を防止するために、電気事業法、電気用品安全法、電気工事士法、消防法、労働安全衛生法などの各種の法律が制定されており、また、具体的な指針として、電気設備技術基準などの省令が公布されています。本章では、一般的な電気知識や法律の趣旨や基準について、水中切断作業に関係する内容を簡単に解説します。
20009年に労働安全衛生総合研究所が公開した「感電の基礎と過去30 年間の死亡災害の統計」JNIOSH-SD-No.25(2009)に、感電に関する法令や人体反応などが詳細に解説されていることを、改定日に発見しました。関連法規なども詳細に明記されていますので、参照していただければと思います。
次ページ 2016.04.02作成 2018.6.16改定