7.労働安全・感電・腐食

・水中作業の安全・感電・腐食は、陸上とは異なる認識が必要なので、労働安全・衛生管理に関係した事柄を紹介をします。

31 水中作業の安全に関係した法律

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1)電気事業法
 第1条で「電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全を確保し、あわせて環境の保全を図ることを目的とする。」と定められています。電気事業はきわめて高い公益性を有し、また、地域独占性の強い事業であり、電気の使用者の利益を保護するとともに、電気事業の公益性を推進し地域独占による弊害を防止するために制定されています。

2)電気用品安全法
 電気用品による危険及び傷害の発生を防止することを目的として、粗悪な電気用品の製造販売を規制するために、不良品を製造または輸入させないこと、販売させないこと及び使用させないことの3段階で取り締まる法律。

3)電気工事士法
 電気工事の欠陥によって発生する各種の災害を防止するため、その電気工事を一定以上の技能と知識を有すると認めて資格を与えた人のみに規制する法律。

4)消防法
 火災予防と災害の防止と言う面から、一定規模以上の公共的建造物に対して各種消防用設備や非常用電源などに関する技術的な基準を設けています。

5)労働安全衛生法
 労働者の安全という面から、電気機器、配線、移動伝染による感電防止処置、停電作業、活線作業などについて規制しています。

6)電気工作物(設備)の技術基準
 電気工作物による障害防止は、完全性を期することが好ましいが、経済的・技術的に無理があります。このため、障害による損失と障害防止に必要なコストとのバランスを考慮して行政的な判断をして基準を定めています。障害発生防止には、施設を十分安全なものにして事故の発生と拡大を防止する方法と、監視・点検・走査上の処置による方法と、があり、この両方を効率的に運用することが望ましい。また、電気工作物の障害防止対策は、次の3段階で対処することが望ましい。(1)電気工作物自体に損傷が発生しないようにする。(2)損傷が生じたときに周囲の人畜あるいは工作物に障害を与えないようにする。(3)発生した事故の影響を最小限に食いとどめること。
 電気工作物自体の損傷の防止には、異常電圧による損傷防止、短絡電流による損傷防止、連続使用による熱的損傷防止と外力による損傷防止などがあります。異常電圧には、過負荷や過小負荷による電圧の変動、開閉サージあるいは雷によるサージなどがあり、これらの異常電圧に十分耐えられる絶縁を施すことや避雷器の設置などの対策があります。短絡電流による損傷防止には、短絡電流により生じる電磁気力に十分耐えられる機械的強度を持たせる必要がある。熱的損傷防止には、電線の断面積を適切にすることや放熱板や放熱ファンを適切に利用して発熱量が許容範囲に収まるようにします。外力による損傷防止では設置場所や周辺環境を考慮して適切な構造と配置を考えることになります。また、腐食や疲労による損傷や稼動部分の損傷などがあり材質や塗装などを適切に選定する必要があります。さらには、設計から離れた間違った使用法をされないよう注意することや点検しやすい構造にすることなどが有効な対策です。
 損傷が生じたときに周囲の人畜あるいは工作物に障害を与えないようにするには、障害の種類に応じて様々な方法があり、間隔を十分に開けること、絶縁を十分しておくこと、感電防止措置を完全にしておくことなどがある。感電防止の処置としては、充電部分を十分な絶縁性能と機械的強度のある絶縁物で覆いかつ絶縁物が損傷しないようにすることや筐体部を確実にアースに接地しておくことあるいは漏電遮断器や接地工事を適切に行わなければなりません。

 日本国内では、上記の高気圧作業安全衛生規則が乾式水中溶接を実施するうえでの最大の障害となっています。

次ページ 2016.04.02作成 2017.04.28改定