7.労働安全・感電・腐食

・水中作業の安全・感電・腐食は、陸上とは異なる認識が必要なので、労働安全・衛生管理に関係した事柄を紹介をします。(作成中です)

4.腐食(作成中です)

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 腐食は、化学・生物学的作用により外見や機能が損なわれた物体やその状態のことです。金属は、周囲の環境(隣接している金属・気体など)と化学的あるいは電気化学的な反応を起こし侵食されたりあるいは腐食生成物を生成したりします。表面的に「さび」が発生するだけにとどまらず、腐食により厚さが減少したり、孔が開いたり、隙間が出来たりすることも含みます。
 金属の腐食は、酸化還元反応により表面の金属が電子を失ってイオン化し金属面から脱落して行くことで進行します。生じたイオンは、多くの場合、酸素により酸化物、水酸化物あるいは炭酸塩(緑青の場合)となり表面に堆積します。金属イオンが酸化物に置き換わってゆく過程で、結晶構造や物性が著しく変化する場合も良くあります。一般的には、金属が腐食すると形状ならびに強度が損なわれ、表面に錆が現れます。
 金属表面は普通、薄い(1ミクロン以下)酸化物で覆われています。金属表面はエネルギー的に不安定なため、大気中の酸素分子と反応して酸化物のバリアー層を形成し、むき出しの金属表面は自然な状態では存在しません。表面に存在する酸化物バリアー層は、金属種類や環境、加工や異物付着などにより千差万別で、表面の防腐食性も変わってきます。物理的あるいは化学的作用により金属表面の酸化物バリアー層が損なわれやすいと、バリアー層の剥離と表面の酸化は繰り返され、腐食面は金属内部に陥入します。特に水分と微量の酸の存在は、金属の腐食プロセスを加速させます。金属のイオン化傾向がH+よりも大きければ、金属表面は容易にイオン化します。金属酸化物に水溶性があればそれによってもバリアー層は剥離されます。バリアー層あるいはめっき面の点状の欠損から腐食が陥入する状態は孔食(点食、ピッティングコロージョン)と呼ばれています。ハロゲンイオン(主に塩素イオン、Cl-)の存在はピッティングコロージョンの引き金になることよくが知られています。一旦孔が腐食によって生成されると、金属表面に電気的物理的に不均一となり、腐食を促進させる傾向があります。
 金属の腐食に必要なものは水と酸素で、(1)酸が水中で解離して生じる水素イオン(H+)か、(2)空気中から水に溶け込んだ溶存酸素により腐食が生じます。

次ページ未定 2016.3.17作成 2018.2.12改定

全体目次
安全感電・目次
錆と人間
"錆と人間/ビール缶から戦艦まで", ジョナサン ・ウォルドマン, 三木直子/訳,築地書館(2016) ISBN 978-4-8067-1521-4
 錆と腐食について理解するための最適な書籍です。防食にかけた様々な取り組みのヒューマンドラマが綴られ、腐食についての包括的な理解をするための手助けとなります。