3.アークの不安定現象(GTA)
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アークは本来不安定なもの、 電極の酸化状態や組成及び温度により電子の放出能や吸収能は大きく影響されます。 また、 アークは自分自身の作る電磁界により緊縮したり、 偏向したりします。 この不安定なアークを実用に供するために、 電源や手法が工夫されています。 このページでは、 通常の適切な溶接では目にすることの少ない、 GTAでのさまざまな不安定現象を紹介します
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SUS304のGTA溶接(Ar)現象。 アーク発生直後から裏まで溶け込んだ後までの映像。 溶融金属は高温で活性が高く、 酸素などが存在すると酸化反応を起こし、 表面に酸化物が浮遊する。 アルゴンなどの不活性ガスで高温の部分をシールドし、 溶融金属の性質を所定の範囲内に保つようにしている。 裏面まで溶ける場合には裏面も表面と同様にシールドする必要がある。 裏側をきちんとシールドしないと溶融金属に空気(酸素と窒素)が混入し悪影響を与える。 溶裏まで溶けると融池表面のスラグと溶融池振動モードが変化する。
(ilv_952, 280×220, 25秒) |
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SUS304のGTA溶接、 側面からのカラー映像。 安定なアークの例。 撮影条件をきちんと調整すればかなり明瞭に撮影できる。 高速度で溶接する場合、 溶融金属が後方に流れアンダーカットや反ピン具を起こすことがある。 電極先端を溶接進行方向に傾けて後方への流れを抑制する場合があ。
(gta00a1, 320×240, 30秒) |
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前の映像を処理して表示した例。 撮影条件をきちんと調整すればかなり明瞭に撮影できる。 映像データが持つ情報量より、 人間の目で識別できる範囲はかなり狭く、 溶融池後方の境界線もデータにはきちんと差が出ているが、 通常の表示では見過ごされてしまう。 溶融金属が振動し、 後方部でリップルラインが形成されているのが観察できる。
(gta00a1a, 320×240, 30秒) |
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SUS304のGTA溶接、 前方からの高速度カラー映像(GTA00a1.aviと同時に撮影、 200駒/秒)。 安定な溶接が行われていても、 溶融池表面に現れたスラグは高速で複雑な運動を行う。
(gta00a2, 320×240, 40秒) |
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SUS304丸棒(直径10mm)上への静止アークのカラー映像。 電流の大半は電極直下に流れていると考えられるが、 最初電極直下に存在したスラグ層は周辺に移動し不規則に移動する。 スラグが回転しながら移動するのとと供に、 青白い金属蒸気もスラグの上方に移動し、 ある程度の電流がスラグの領域に流れていることが推察できる。 極点形成の不安定と電磁気力による溶融金属の回転を観察。
(gta00a3, 320×240, 16秒) |
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SUS304丸棒(直径10mm)上への小電流静止アークのカラー映像。 アーク柱自体の運動は少ないが、 溶融金属は変芯し電磁気力により反時計方向にゆっくりと回転する。 青白く光る金属蒸気も溶融金属と供に回転していることが観察できる。
(gta00a4, 320×240, 30秒) |
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SUS304丸棒(直径10mm)上への静止アークのカラー映像。 外部の磁石で磁界を与えるとアークは簡単に偏向する。 アークが偏向していないときにははっきりとは確認できないアノード領域が、 アーク偏向で高輝度プラズマが無くなると明瞭に観察できる。 ただし、 溶融金属中心付近の白い領域はアークの鏡像の可能性が高い。 金属蒸気の発生状況も確認しやすくなる。 外部磁界の引火により、 溶融金属の回転は抑制される。
(gta00a5, 320×240, 13秒) |
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SUS304丸棒(直径10mm)上への静止パルスアークのカラー映像。 電流の強弱で溶融・凝固のラインが変動し、 その応答はかなりい。 小電流時には、 アーク中央部の輝度は非常に低下し、 金属蒸気が明瞭に観察される。 溶融金属の手前中央付近の白い円は電極先端領域の反射像。
(gta00a6, 320×240, 20秒) |
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SUS304上への小電流静止アークのカラー映像。 電極直径に比較し電流が小さすぎると陰極形成位置が不安定になる現象を観察。 必ずしもアークは先端から発生し直下の母材部を結ぶ至近距離に出来るわけではない。 母材が溶融するとアノードは溶融金属部に集中する傾向が観察される。 陰極側は電子放出により温度が低下する要因を持ち陰極点は陽極点より不安定になる。 ある程度電流が集中するとピンチ効果によりますます収縮する傾向があり、 この収縮が極点位置の安定化に大きく貢献する。
(00gta-unstable, 320×240, 25秒) |
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GTA(Arシールド)溶接現象のCCDカメラ映像(955nm)による観察。 母材の温度が低い溶接初期にはよく磁気吹きなどがおきる。
(gtaccd1, 240×240, 9秒) |
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SSUS304、 Ar、 GTAのアーク始動時の挙動の高速度熱画像観察(955nm, 9000駒/秒)。 アーク発生直後は陰極点はタングステン電極表面を走り回る(酸化物層)。 純タングステン電極ではアークが安定して発生するまで時間がかかる傾向を持ち、 陰極が電極表面のかなり上部まで動き回ることが多い。 また、 電極先端が尖っていると、 溶融して離脱することが多い。
(621pw01, 256×256, 22秒) |
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GTAパルスアークによる電極直下部の固体壁露出現象の高速度映像(9,000駒/秒)。 パルスアークの高電流時に溶融金属が薄くなりすぎて、 小電流時に凝固する。 欠陥発生の原因のひとつであり、 溶接初期の母材温度が低い場合によく発生する。
(150arhe-npulse, 256×256, 34秒) |
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次ページ 2017.05.13作成 2017.05.13改訂