アルゴンとヘリウム

6.アルゴンとヘリウムの組成の影響

前ページ

シールドガスが変わるとアーク溶接の挙動が大きく変化します。特性の異なる複数のカメラを用いて、同時に映像を取得し、現象がどのように変化するかを紹介します。トーチを固定して、水冷銅板の上でアークを発生させ、ついで母材を移動させて、SUS304を溶接します。途中から活性フラックスを塗布した領域に入ります。撮影速度30fps、GTA130A、20cm/min、2.4mm3%ThWが共通の条件です。シールドガスの流量は20L/minであり、アルゴンとヘリウムの混合比を変えています。

Click image to watch movie
CCD-color、アルゴン。活性フラックスは塗布していない。このCCDカメラの映像では、電極とアーク部は水冷銅板上とSUS304上とでほとんど相違は認められない。 (030519c01, 256×200, 20秒) 58)
CCD-color、アルゴン。途中から活性フラックスを塗布した領域に入る。電極とアーク部は水冷銅板上とSUS304上とでほとんど相違は認められない。電極先端部近傍の青白い領域が、活性フラックス塗布の領域に入ると薄くなる傾向はある。活性フラックスを塗布した領域に入ると溶融池周辺部のスラグは増加し、中央の青白い金属蒸気の領域が狭くなる。 (030519c02, 256×200, 26秒) 59)
CCD-color、30fps、Ar15:He05。活性フラックスの無い領域では、スラグが溶融池中央部に流れ込む。活性フラックスえお塗布した領域では、スラグが無く、内向きの流れは確認できない。電極とプラズマの状態はほとんど変化しない。フラックスの無いところでは青白い金属蒸気が幅広く存在するが、活性フラックスを塗布した領域では明白ではなく、アノードは集中しているように観察される。 (030519c03, 256×200, 23秒) 60)
CCD-color、Ar13:He07。フラックスの有無により金属蒸気の量が異なるのは区別できる。溶融池上の流れははっきりしない。フラックス塗布のとき溶融池境界にスラグがある。 (030519c06, 256×200, 27秒) 61)
CCD-color、Ar10:He10。フラックスの有無により金属蒸気の量が異なるのは区別できる。溶融池上の流れははっきりしない。フラックス塗布のとき溶融池境界にスラグがある。 (030519c05, 256×200, 25秒) 62)
CCD-color, Ar07:He13。ヘリウムの増加によりアーク下部(溶融池表面)の形状がフラックスの形状が変化。フラックスの無いときの金属蒸気の量と範囲が増加。フラックス塗布した領域では、金属蒸気は少なくなり中央部に集中。フラックスの無いときにはスラグは内向きに流れる。 (030519c07, 256×200, 26秒) 63)
CCD-color、Ar05:He15。金属蒸気は広い範囲で発生。周辺のスラグは内向きに流れるが、金属蒸気のある境界ではあまり移動しない。フラックスある場合には、金属蒸気は中央に集中しその周辺は暗い。フラックスの有無により電極先端部近傍の光り方が変化。溶融池全縁のフラックスは蒸発している様子。 (030519c08, 256×200, 21秒) 64)
CCD-color、Ar03:He17。母材の状態によりアークと電極の明るさが変化。溶融池表面での状態もドラスティックに変化。表面流れははっきりしないが、フラックス塗布時の金属の振動は速く激しい。 (030519c09, 256×200, 26秒) 65)
CCD-color、Ar02:He18。母材により電極、プラズマ、溶融池表面の状態は大きく変化。スラグ発生するも、あまり流れは分からない。 (030519c10, 256×200, 24秒) 66)
CCD-color、Ar01:He19。母材により電極、プラズマ、溶融池表面の状態は大きく変化。スラグ発生するも、あまり流れは分からない。 (030519c11, 256×200, 23秒) 67)
CCD-color、Ar00:He20。母材により電極、プラズマ、溶融池表面の状態は大きく変化。アノードは集中し、青白い金属蒸気も溶融池中央付近に集中。板材質が違う可能性もある。 (030519c12, 256×200, 13秒) 68)
CCD-color、Ar00:He20。母材により電極、プラズマ、溶融池表面の状態は大きく変化。フラックス塗布した領域ではアノードは集中し、中心部の様相が変わる。 (030519c13, 256×200, 24秒) 69)
CCD-color、Ar20:He00。電極及びプラズマのほとんどに変化は認められないが、母材表面では大きく異なる。水冷銅板上では幅広に見えるが、SUS304の溶融池が発生すると、アノードは集中し、アノード部からの蒸発に影響されるように見える。 (030519c14, 256×200, 26秒) 70)
高ダイナミックレンジCMOS、フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。 (030519h01, 300×200, 20秒) 71)
高ダイナミックレンジCMOS、フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。 (030519h02, 300×200, 25秒) 72)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar15:He05。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。 (030519h03, 300×200, 24秒) 73)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar10:He10。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。 (030519h04, 300×200, 21秒) 74)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar13:He07。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。 (030519h06, 300×200, 26秒) 75)
高ダイナミックレン、Ar10:He10。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。 (030519h05, 300×200, 19秒) 76)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar07:He13。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。 (030519h07, 300×200, 26秒) 77)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar05:He15。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。 (030519h08, 300×200, 24秒) 78)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar03:He17。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。 (030519h09, 300×200, 27秒) 79)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar02:He18。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。 (030519h10, 300×200, 25秒) 80)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar01:He19。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。 (030519h11, 300×200, 23秒) 81)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar00:He20フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。(030519h12, 300×200, 13秒) 82)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar00:He20。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。アークは全体的に広がる。 (030519h13, 300×200, 24秒) 83)
高ダイナミックレンジCMOS、Ar20:He00。フィルターなしで撮影した場合、明るいところから暗いところまで幅広く撮影できるが、コントラストは低下する。流れやプラズマ状態の変化は分かりにくくなる。 (030519h14, 300×200, 27秒) 84)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar15:He05。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。フラックスなしでスラグは内向きの流れ。フラックス塗布した領域で溶融池表面は下方に下がり、前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa03, 256×200, 18秒) 85)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar13:He07。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。溶融池形成されると電極先端の火焔はやや後方に向く。フラックス塗布面では少し前に。フラックスなしでスラグは内向きの流れ。フラックス塗布した領域での溶融池表面下がりはなく、前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa06, 256×200, 24秒) 86)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar10:He10。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。フラックスなしでスラグは早い流れ、向きは確認できず。フラックス塗布した領域での溶融池表面はあまり下方に下がらなく、前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa05, 256×200, 23秒) 87)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar07:He13。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。溶融池表面の流れは分からない。フラックス塗布した領域での溶融池表面下がりは少なく、前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa07, 256×200, 23秒) 88)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar05:He15。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。溶融池表面の流れは分からない。フラックス塗布した領域での溶融池表面下がりはありそう。フラックスが無い場合に溶融池表面のすぐ上が光るが、フラックス塗布の領域では光は少ない。前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa08, 256×200, 21秒) 89)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar03:He17。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。溶融池表面の流れは分からない。フラックス塗布した領域での溶融池表面は下がり、良く振動する。フラックスの有無に関わらず溶融池表面暗い。前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa09, 256×200, 24秒) 90)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar02:He18。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。溶融池表面の流れは分からない。フラックス塗布した領域での溶融池表面下がりはありそう。フラックスが無い場合に溶融池側面はやや盛り上がり電極の反射像が見える。フラックス塗布の領域では反射像は見えない。前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa10, 256×200, 22秒) 91)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar01:He19。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。フラックスの無いとき、溶融池表面でスラグは中心に向かう。フラックス塗布した領域での溶融池表面下がりはありそう。フラックスが無い場合に溶融池表面のすぐ上が光るが、フラックス塗布の領域では光は少ない。前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa11, 256×200, 20秒) 92)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar00:He20。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。水冷銅板上ではアーク部は明るい。溶融池表面の流れは分からない。フラックス塗布した領域での溶融池表面下がりはありそう。フラックスが無い場合に溶融池表面のすぐ上が光るが、フラックス塗布の領域では光は少ない。前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa13, 256×200, 21秒) 93)
CMOS、589nm狭帯域干渉フィルター、Ar20:He00。電極とプラズマ上部に大きな変化なし。プラズマ下部には明るい領域があり、フラックスの有無により明るさと大きさが違う。フラックス塗布の場合により明るい。溶融池表面の流れは分からない。フラックス塗布した領域での溶融池表面下がりはありそう。前縁のフラックスは白く光る。 (030519wa14, 256×200, 23秒) 94)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar15:He05。電極は暗く分からない。先端部近傍のアークは明るい。フラックスが無い領域ではアノード中央は暗く、周囲にドーナツ状の明るい輪が見える。フラックスの領域では、管状の光は消える。溶融池表面では中心から後方へ速いガスの流れが認められる。 (030519wb03, 256×200, 18秒) 95)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar13:He07。電極は暗く分からない。先端部近傍のアークは明るく、陽極による影響は少ない。フラックスが無い領域では中央は明るく、フラックスの領域では中央部に不規則な明るい点々が見える。溶融池表面ではスラグの速い流れが認められる。 (030519wb06, 256×200, 24秒) 96)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar10:He10。電極は暗く分からない。先端部近傍のアークは明るく、陽極による影響は少ない。フラックスが無い領域では中央は明るく、フラックスの領域では中央部に不規則な明るい点々が見える。溶融池表面ではスラグの速い流れが認められる。 (030519wb05, 256×200, 23秒) 97)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar07:He13。電極は暗く分からない。先端部近傍のアークは明るく、陽極による影響は少ない。フラックスが無い領域では中央は明るく大きい、フラックスの領域では中央部に不規則な明るい点々が見える。溶融池表面ではスラグの速い流れが認められる。 (030519wb07, 256×200, 23秒) 98)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar05:He15。電極は暗く分からない。先端部近傍のアークは明るく、電極表面部に近いところのみ発光している。陽極による影響は少ない。フラックスが無い領域では中央は明るく大きい。後方への強い流れが感じられる。フラックスの領域では中央部にやや明るい領域が見え、不規則に動揺している。 (030519wb08, 256×200, 21秒) 99)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar03:He17。電極は暗く分からない。先端部近傍のアークは明るく、電極表面部に近いところのみ発光している。陽極による影響は少ない。フラックスが無い領域では中央は明るく大きい。後方への強い流れが感じられる。フラックスの領域では中央部に集中したやや明るい領域が見え、不規則に動揺している。 (030519wb09, 256×200, 24秒) 100)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar02:He18。電極は暗く分からない。先端部近傍のアークは明るく、電極表面部に近いところのみ発光している。陽極による影響は少ない。フラックスが無い領域では中央は明るく大きい。フラックスの領域では中央部にやや明るい領域が見え、不規則に動揺している。溶融池が押し下げられた様子は認められない。 (030519wb10, 256×200, 22秒) 101)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar01:He19。電極は暗く分からない。先端部近傍のアークは明るく、電極表面部に近いところのみ発光している。陽極による影響は少ない。フラックスが無い領域では中央は明るく大きい。後方への強い流れが感じられる。フラックスの領域では中央部にやや明るい領域が見え、不規則に動揺している。 (030519wb11, 256×200, 20秒) 102)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar00:He20。電極先端部近傍のアークは認められない。水冷銅板上では認められないが、SUS304上では、電極やや上部に金属イオンによる傘状の発光が認められる。フラックスを塗布した部分ではやや暗くなり情報へ遷移する。フラックスが無い領域では中央の発光はやや暗く小さい。後方への強い流れが感じられる。フラックスのない領域では中央部に明るい大きな領域がある。 (030519wb13, 256×200, 21秒) 103)
CMOS、431nm狭帯域干渉フィルター、Ar20:He00。電極は暗く形状は分からない。先端部に明るい領域があり、陽極には影響されない。溶融池中心部はやや暗く少し押し下げられている感じ。後方に金属蒸気らしき発光あり、フラックスの領域に入り消滅。中心場は激しく動揺。 (030519wb14, 256×200, 23秒) 104)

次ページ 2017.05.13作成 2017.05.13改訂