水カーテン式溶接

10.水カーテン式溶接

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アーク溶接に湿気は禁物。しかし、完全に水の中に沈んだ状態で鋼材を接合させる用途もあります。このページでは、完全に水中に没水した状態でのアーク溶接についての映像を紹介します。湿式水中溶接では、水分や雰囲気圧力の悪影響がありますが、溶接法を工夫すれば、実用的に問題ない状態で機械的強度も陸上での溶接と同一な溶接が可能となります。

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メガ(フェーズ1全長300m)の建造時の水中溶接実施状況。初層を海水中で実施し、初層溶接完了後に水を排除して完全な溶接を実施する手法も確立した。大型水槽でのモックアップ試験で性能を確認した後、実際にメガフロートの建造に現場で自動水中溶接を適用した。メガフロートの建造では水深は高々30cmであり、架台を設置して駆動装置を水面上に設置し、溶接トーチのみを水中に没して自動溶接を実施した。プロジェクト終了時に水中溶接部を切り出し、健全な溶接が実施されていたことを機械試験で実証した。(mega_uw1, 200×156, 40秒) 141)
洋上空港の補修を想定した上向き溶接の実験状況。浮体式洋上空港が実用されると、巨大の構造物の船底部の補修が必要になる場合もある。また、これらの構造物は改造や増築も必要になることがある。この作業を効率よく実施するために、海中で浮体裏面を上向き姿勢で溶接する技術を確立した。 (mega_uw2, 200×156, 30秒) 142)
小型半自動水中溶接装置の実験。潜水作業士による現場での手軽な湿式水中溶接の実用化を目指して、超小型の管尾代書を用いた湿式水中自動溶接装置を開発した。このサイズなら、溶接に熟練していない潜水士が、現場で良好な溶接を実施できる。 (mega_uw3, 200×156, 20秒) 143)
摺動式水冷銅裏当てを用いた裏波溶接(水表面からの撮影)。メガフロートの水中溶接で問題となるのは、浮体裏表面の処置。共当金を用いた溶接後では、溶接終了後この共当金が疲労の起点となる危険性が高く疲労強度が低下する。内部から完全な裏波溶接を実施するために銅裏当を用いた水中溶接法を開発した。 (mega_uw4, 200×156, 30秒) 144)
摺動式水冷銅裏当てを用いた裏波溶接(水中裏面からの撮影)。表側からの裏波溶接を実施するために移動式の水冷銅板を溶接トーチと同時に移動させる方式の有効性を実証した。摺動面からの水の浸入を防ぎ、同時に裏波ビードによる摩擦抵抗を防ぐ必要があり、冶具の形状を工夫した。 (mega_uw5, 200×156, 30秒) 145)
摺動式水冷銅裏当てを用いた裏波溶接(水中横からの撮影)。裏波溶接では、溶接母材の面外変形により溶接線進行方向の開先が収縮する傾向を持つ。このため、変形を防止し適正な開先幅を保つための拘束板を溶接線上に多数設置することになる。理想的には拘束板の下を移動する小型の溶接装置が必要となるが、この映像は可能性を探るための実験であり、溶接が拘束板に当たる直前に人力で除去し、実証実験を実施した。 (mega_uw6, 200×156, 30秒) 146)
水平固定管の水中溶接。海底パイプラインなど、パイプを固定したまま溶接を実施する用途があり、実用性を確認するために水平固定管の全周溶接を実施した。このように溶接姿勢が場所により異なる方法では、適正な溶接条件が位置により異なること、水を適切に排除する条件も同様に姿勢により異なることなどの問題点がある。これらの問題を解決して良好な溶接を可能にした。 (uw_hpipew, 320×240, 60秒) 147)
長尺軟鋼材の水中溶接(1)。全没水式の自動溶接装置を作成し、4m程度の長さの溶接を水中で実施し、実用化に必要なデータを蓄積した。潜水士が手軽にセットできる構造にしている。 (uw_plt1, 256×200, 15秒) 148)
長尺軟鋼材の水中溶接(2)。駆動台車に溶接ワイヤとトーチを設置した小型自動溶接装置を開発し実用化に向けたモックアップテストを行い、全没水溶接でも健全な溶接結果が得られることを実証した。 (uw_plt2, 256×200, 15秒) 149)
垂直固定管へのスタッド溶接。ボルトなどを鋼材の壁面に溶接するスタッド溶接は多くの用途に用いられる。犠牲電極などの付属品の固着やコンクリートを上塗りするための基礎などがその代表的な利用法である。水中で手軽にスタッド溶接が行えるようにした。ボルトを水中スタッドガンにセットし、壁面に押し当ててトリガーを入れるだけで確実な溶接が実施できる。 (uw_studw, 320×240, 30秒) 150)
垂直固定管の水中溶接。ライザーなど海底から海上に鋼管を立ち上げる際には水平姿勢での溶接が必要となる。実際の鋼管を突合せ溶接し、多くのデータを蓄積している。(uw_vpipew, 320×240, 30秒) 151)
潜水士による水中溶接デモ。海水中では水深10m毎に1気圧増加し、行動の自由が制限される上、感電(漏電)の危険性が高くなるなど精神的な圧力も作用する。また、溶接部の視認が困難となる。これらの困難を訓練で克服すれば、健全な溶接が可能となる。しかし、より確実な溶接を実現するため、水中溶接の自動化技術の開発を実施している。 (uw_manual, 200×156, 60秒) 152)
陸上でのアタールガス(80%Ar+20%CO2)による溶接。アークは溶滴下部全体から発生、ガス流量20L/min。短絡が破れてアークが発生するときにスパッタが発生している。溶滴下部は母材より上にある。(hpair020l, 240×180, 9秒) 153)
水深10m相当の圧力での80%Ar+20%CO2溶接。このガスは炭酸ガスに比べてアークが長くなるが、圧力が増加するとアークの電位傾度は高くなり、アークは緊縮され、埋もれアークになる。ガス流量40L/min。 (hp10m-1, 240×180, 9秒) 154)
水深0.3mにおける水カーテン式水中溶接。溶接を実行しているところは、シールドガスに覆われ陸上と同様乾いた状態になっている。この場合は、カーテン水に邪魔されて溶融池は見えない。 (hpuwg0_3m, 240×180, 9秒) 155)
水深10mにおける水カーテン式水中溶接。雰囲気圧力が2気圧になっており、シールドガスのモル流量は大気圧に比べると増加する。しかし、同じ差圧(ボンベ元圧と雰囲気圧との差)でシールドガスを流すと、トーチから流れ出る流速は低下する。このため、溶接条件(アーク電圧と電流)とシールド条件の双方を満足させるように、雰囲気圧力により適正に設定する必要がある。カーテン水に邪魔されて溶融池は見えない。 (hpuwg10m0, 240×180, 9秒) 156)
超音波による開先認識。溶接部形状を水中で確実に認識するために、収束型超音波を用いたシステムを作成した。小型の超音波素子を溶接進行方向と直角に走査させてデータを取得し、超音波の到達時間と強度データを解析して、V開先の形状と開先表面の状態を計測する技術を完成させた。水中で超音波により形状解析したデータを可視化画像で表示。 (sonicv, 240×180, 10秒) 157)

次ページ 2017.05.13作成 2017.05.13改訂