6. GMA溶接(現在作成中です)

6.21 アーク電圧の効果(現在作成中です)

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 溶接・切断現象は非常に多くの要因が複雑に関係している現象で、時間的な変動も非常に速いという特徴があります。私が水中溶接・切断に関係し始めた時点(1974年)では、現象を理解するためには、電圧・電流を記録し、写真撮影をするくらいしか、日常的に現象を観察する手段はありませんでした。フィルムを用いた高速度撮影も可能ではありました。しかし、実験準備から実際の撮影、フィルムの現像、撮影結果の解析などに要する時間と費用は膨大なものとなっており、今のように簡単に高速度ビデオで撮影することはできませんでした。また、撮影したフィルムから現象を解析するには、まず映写機をまわして時間的な変動を見て、これはと思っところを印画紙にベタ焼きして、特異な現象の解釈をするのが一般的でした。いきおい、平均的な現象に関しての記述は相対的に少なくなります。
 電圧・電流信号の取得に関しても、全てアナログの装置であり、雑音の影響が大きく、溶接のように時間的な変化の速い現象を記録するには、シンクロスコープの画面を撮影して解析をするしかありませんでした。
 20世紀から21世紀へとなるころ、デジタル式の高速度ビデオが出回りだし、撮影結果をデジタルデータで取り扱えるようになってきました。同時にパソコンが普及しその影響も飛躍的に向上してきたこともあり、現象の解析ツールとして非常に便利なツールとなってきています。しかし、性能が飛躍的に向上すればするほど、撮影するのは一瞬、撮影結果を見るのは気の遠くなるような時間、の関係が顕著になってきました。詳細は高速度ビデオの章に記述していますが、全体の現象を概観するために以下に示すような時刻歴画像に変換しています。
Effect of voltage in CO2. Mild steel 1.2mmt, 100A?V, 30cm/min, 4500fps
14V 116)
22V 117)
26V 118)
30V 119)
34V 120)
 上の表は、溶接現象に影響するアーク電圧の効果を調べた結果の一例です。高速度ビデオを再生するには、左端の下線付きの文章をクリックします。次の映像はある時刻でのビデオの映像、その次は一定時間範囲での各画像の最高輝度値をプロットした映像で、アークやスパッタの変動がどのようになっているのかを概観できます。中間の二つの時刻歴画像は、横軸が時刻で、各時刻における水平方向及び鉛直方向の最高輝度値をプロットしています。この二つの時刻歴画像から、短絡やスパッタ発生の頻度や方向と速度、アーク長さの時間的変動などの大まかな傾向を理解することができます。右端はビード表面裏面の映像です。
 このように現象を可視化した後で、短絡周期やスパッタ発生頻度などを数値化してグラフにすることで、現象の詳細な理解が可能となります。
 このシリーズのデータは、2002,2003年度に慶應大学菅研究室の学生諸君の応援により取得したものです。ご協力どうもありがとうございました。 取得したGMAデータ一覧表には多くのパラメータごとに整理した結果を示しています。ここのパラメータの結果はこのページに準拠して整理してまとめていますが、筆者のHP容量の限界で各データは小さい映像のもののみ表示し、そのほかのデータはHPには掲載せず、このページのみを代表例として公開しています。
 映像データのサイズは非常に膨大な大きさであり、産総研に勤務していた頃は容量制限に悩まむ必要は少なく、目立たない形でこれらの映像をすべてRIO−DB(産総研データベース)に公開していました。私の退職後に、この水中溶接データベースが故障し、外部からの閲覧が不可能となっていました。私自身は自分のPC上にデータを保存しており、個人としては問題なく閲覧可能でした。故障したデータを産総研で復元するための組織も費用もありませんでしたので、気にはなっていましたが、退職した部外者が口を出すことでもなく、そのまま放置していました。
 2015年年末に、産工会(産総研・工業技術院OB会)WEBサイト「研究秘話」に、「水中溶接・切断技術」(2016.4)を記載してくれとの依頼があり、その関連でこのHPも拡充する気になり、動画も視聴できるよう作成しています。

次ページ  2016.09.12作成 2017.05.03改定

全体目次
水中溶接目次
溶接アーク撮影法
KISS aproach
Keep It Simple,Stupid
もっと簡単に、アホ!
MICE
Make it complicated, Einstein
日本では、MICEは
Meeting, Incentive tour, Convention or Conference,Exhibition